助っトレーニング

第七回

 加齢にともなって、体にはさまざまな変化が現れてきます。その1つは、体のバランスが崩れたとき踏ん張ることができず、転びやすくなるということです。
 若いころは勢い余って転ぶということはあるとしても、つまずいたり、足を踏み外したりして転ぶということはめったに経験しません。しかし年をとってくると、ちょっとした姿勢のくずれで簡単に転ぶことがあります。厚生労働省の調査(平成18年)によると、転倒事故を起こした人の78パーセントは65歳以上の人たちでした。加齢につれて転倒しやすくなるのは事実です。
 日本では、高齢者の転倒予防の大切さが訴えられています。転倒で足の骨を折ると、安静状態を続けるために、足の筋肉は運動不足になりしだいに衰えていきます。そのために脚力が弱くなり、寝たきりになる高齢者がいるのです。高齢者は自立した生活を長く維持するために、寝たき

ホームページトップに戻る

りの原因ともなる転倒を予防することが重要となるのです。
 65歳以上の人たちに転倒事故が多いのは、足を素早く動かす筋肉が衰えるからです。筋肉は大きく分けると2つになります。1つは、体を素早く動かす筋肉、すなわち速筋(そっきん)です。もう1つは、体をゆっくり長時間動かし続ける筋肉、すなわち遅筋(ちきん)です。速筋は遅筋に比べると、加齢にともなう衰えが激しいのです。そのために、65歳を過ぎると足を素早く動かすことができなくなり、転倒事故を起こしやすくなるのです。
 転倒を防ぐには、足の速筋の衰えを防ぐ運動を行うとよいでしょう。
 ウォーキングだけ行っていたのでは、素早く動く足を維持することはできません。ウォーキングは、主に遅筋だけを使うからです。ときどき高速ステップを行うように速筋を使う運動を行って転倒を予防しましょう。