店頭での、聞きなれない病気

ここでは、実際に店頭に於いて相談のあった、ちょっと聞きなれない病気の紹介をしていきます。
病気の説明だけに止め、患者さんの情報・症状・処方は載せません。

2010年1月7日(木)
丹毒(たんどく)
丹毒とは溶血性レンサ球菌による真皮の炎症。まれに黄色ブドウ球菌によるものもあります。
1〜2日の潜伏期の後に、突然悪寒発熱・頭痛口渇を伴って、主に顔面・下腿に境界明瞭な浮腫性紅斑を生じ、表面緊張して光沢あり、浸潤を触れ、圧痛がある。遠心性に拡大し、重症では膿疱・壊疽を生じる。ときに遊走する[遊走性丹毒]、再発しやすい[習慣性丹毒]や、腎炎・脳膜炎を合併する。
治療上、乾性と湿性に分ける。
症状は、突然、高い熱、悪寒(おかん)、全身の倦怠感(けんたいかん)を伴って、皮膚に境のはっきりしたあざやかな赤い色のはれが現れ、急速に周囲に広がります。表面は皮膚が張って硬く光沢があり、その部分は熱感があって触れると強い痛みがあります。水疱(すいほう)や出血斑を伴うこともあります。
 顔(とくにほほ・耳・眼のまわり)、下肢、上肢、手足に多くみられ、近くのリンパ節がはれて痛みがあるのが普通です。
 適切な治療により、1週間前後で表面の皮がはがれてきて治りますが、正しい治療が行われないと、敗血症(はいけつしょう)、髄膜炎(ずいまくえん)、腎炎などを合併して重篤になることがあります。同じ部位に習慣性に再発を繰り返す場合を習慣性丹毒と呼び、最近増えていますが、慢性のリンパうっ滞が誘因となります
2010年1月18日(月)
正常圧水頭症(せいじょうあつすいとうしょう)
 脳は頭蓋骨の中で脳脊髄液(のうせきずいえき・以下髄液とする)という液体に浸かっている。髄液は脳内の腔(脳室)で毎日400-500ml作られ、脳や脊髄周囲を循環してから最終的に頭のてっぺんの静脈系へ吸収される。従って、1日に23回入れ替わることになる。水頭症とは、何かの原因でこの髄液循環がとどこおることで頭蓋内に髄液が過剰にたまり、脳室が拡大する状態を指す。

 三大徴候としては、痴呆(物忘れが多く、自発性や意欲の低下が目立ち、日常動作が緩慢となります。)歩行障害(小刻み歩行で不安定、片足立ちが困難となります。進行すれば一人で歩けなくなります。)尿失禁(尿意を催してから排尿するまでの時間が短い(尿意切迫)ため、失禁してしまいます。)

2010年12月21日(火)
本態性振戦(ほんたいせいしんせん)

 「本態性振戦」という、手や頭にふるえが現れる病気があります。
 ふるえはいろいろな原因で起こります。気温の変化( 寒さ)や精神的緊張など、だれにでも起こり得る自然なふるえもあれば、甲状腺機能亢進症(バセドウ病)・脳卒中アルコール依存症ーキンソン病などの病気の症状として起きている場合もあります。ふるえはこれら以外に、ぜん息薬などの薬を飲んでいる人で、その副作用として起こるものもあります。
「本態性振戦」とは、特に問題となる原因がなく、生理的なふるえが起こるような状況でもないのにもかかわらず、手や頭にふるえが生ずる病気です。手指や頭、声のふるえによる日常生活の支障や、精神的な苦痛などです。そしてこれらのふるえは、じっとしているときよりも、なにかをしようとするときや、ある特定の姿勢をとったときに現れるのが特徴です。
 本態性振戦の症状は何年たっても発症したときのままほとんど変わりません。この病気で麻痺することはありません。
 私たちが一定の力で筋肉を働かせているとき、筋肉の細胞一つ一つは収縮と伸展を素早く繰り返し、細かくふるえています。しかし、膨大な数の細胞がまちまちの早さでふるえているため、筋肉全体としてはふるえていないように見えますし、ふるえを自覚することもありません。ところが、交感神経が過剰に興奮すると、収縮と伸展のリズムがそろってくるために振動の幅が大きくなります。その結果、ふるえが自覚されるようになります。
 精神的な緊張・ストレスが強いと交感神経がたかぶり、症状が強くなりがちです。十分な休養をとり肉体的にも精神的にもリラックスすると、症状が改善することもあります。
 人と会うときに、ふるえを気付かれないように隠そうとすると、余計ひどくふるえることがあります。そんなときはむしろご自分から「ふるえが出やすい体質なのです」と言ってしまうのもよい方法です。
そのことで緊張がとれて症状が軽くなり、落ち着いて話しができます。

2012年11月28日(水)
むずむず脚症候群

自覚症状として、じっとした姿勢や横になったりしていると主に下肢の部分に「むずむずする」「じっとしていられない」「痒い」「ピンでなぞられているような」「針でさすような」「火照るような」「蟻やミミズなどが這っているような」などの異様な感覚が表れます。
このむずむずした不快感や痛みなどの不快な異常感覚・身体症状が下肢や腰・背中・腕などに出現するため、これを抑えるために常に脚を動かしたり身体をさすったりします。
週に2回以上、中等から重症な症状が起こり、特に夕方から夜間にかけて症状が悪化するという特徴があり、入眠障害や熟睡障害・中途覚醒のような睡眠障害の要因になります。

日常のケア治療としては
カフェインやアルコール・過度の喫煙など嗜好品を避ける。
 日常生活で誘発因子になるカフェインやアルコール、過度の喫煙を避けることが第一。
 睡眠を浅くする可能性があるカフェインを含む飲料を控える事。飲酒は入眠を誘導するがアルコール 
 が分解される過程で喉が渇き交感神経が刺激され、却って睡眠が浅くなるので、飲酒を控えること 
 も効果があるとされている。
●脚のマッサージ
 就寝前に脚をストレッチやマッサージを行い、筋肉のこわばりを取ると改善されることもある。
 股関節のストレッチを意識しながらラジオ体操を行うと改善されることもある。
●立っている時、足の小指の先が地面につくようにする

また、カルシウムや鉄剤の補給、漢方薬で改善されます。

2013年5月16日(木)
非結核性抗酸菌症(ひけっかくせいこうさんきんしょう)

結核菌以外抗酸菌で引き起こされる病気が非結核性抗酸菌症です。ヒトからヒトへは感染せず、病気の進行が穏やかです。
非結核性抗酸菌はたくさんの種類があり、ヒトに病原性があるとされているものだけでも10種類以上あります。日本で最も多いのはMAC菌(マイコバクレリウム・アビウム・イントラセルラーレ)で、約80%を占めています。
症状として最も多いのが咳で、次いで痰、血痰、喀血、先進倦怠などです。進行した場合は、発熱、呼吸困難、食欲不振、痩身などが表れます。
非結果性抗酸菌症は、生活は普通どおりできますし、ヒトからヒトへ感染しないので、自宅で家族と一緒に生活できます。体が弱っている(免疫が落ちている)ことが考えられるので、体力を増強するような生活が望まれます。